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リサンプルと
シャープネス処理
階調と色彩調整が完了したら、使用目的と最終サイズにあわせてリサンプル(リサイズ)をおこなう。リサンプルは元画像を新しい升目を用いて再演算をするので、各種補正において発生したトーンの不連続を補間する機能も持っている*。プリント出力用のデータは機種により適正解像度が異なる。最近の製品ではEPSONは360dpi、CANONは300dpiがノズル数との整合性がいいらしい。ウエブ用途ではブラウザが解像度を反映しないのでピクセル数のみでサイズが決定される。

*=リサンプルメニューのうちバイキュービック法では、1:元画像に軽いローパスフィルタをかけ輪郭をぼかし、ピクセルの周辺情報を取り込む。2:リサイズの新しい升目を基準に元画像を演算しデータを置き換える。3:このとき生成される補間データを加味する。4:リサンプル後の画像にシャープネス処理を行う。・・・というように一連のプロセスを自動処理している。3種のアルゴリズムのなかの「ニアレストネイバー法」はローパスフィルタと補間処理を含まない手法であって、元画像に手動でガウス(ローパスフィルタ)をかけてから、この方式でリサンプルするという奥の手もある。大きく精緻な画像が必要な場合、有効な手段になる。「CS2」におけるバイキュービックのシャープネス選択は、フィルタリングのレベルによるものと思われる。


リサンプル方式はバイキュービック法を選択するが、オプションの「シャープに」は仕上がりのエッジがきつくなるので避ける。なお傾き修正が必要であれば「ものさしツール」で水平にしたいラインをドラッグして「カンバスの回転」から「角度入力・・・」を選ぶ。すると自動的に適正回転角度が表示されるので「OK」をクリックすれば完了だ。切り抜きツールの「回転」の精度が悪いのは昔からで、これは使えない。傾き修正後の切り抜きが必要な場合は、トリミングツールを垂直水平に保ったままで実行する。

最後はスマートシャープだ。以前のPhotoshopではUSM(アンシャープマスク)を重用したが、これは本来、アミ点のある印刷物向けのシャープネス処理だ。スマートシャープは明暗境界のオーバーシュートの肩特性をコントールできるので、モニター表示用画像に最適の結果が得られる。これらは別に必要悪でもなんでもなく、リサンプルで生じる画素の滲みを整理整頓するプロセスと解釈している。一般的なガイド本の一番の問題は具体的な記述がもの足りないことで、とくにシャープネスのパラメータの解説は数値幅がありすぎて実用的ではない。スクリーン表示(ウエッブ用)ではピクセル等倍で見ることを念頭におき、なおかつ不自然な輪郭強調を排すると、適応半径は0.1から0.3で十分である。0.5以上は元画像自体がぼけている場合の救済措置と思っていい。ちなみに印刷用途では0.7-1.3くらいに設定することが多く、これは網点形成(線数)との関係から決定する。スクリーン用の一般的な適応量は半径0.2で60-100、半径0.3の場合は50-85くらいか。過剰なシャープネスは画像のもっている遠近感を損なうので要注意。



スマートシャープと
アンシャープマスク
そして保存

サンプル画像は
左:オリジナル画像を「バイキュービック/滑らか」でリサイズしたそのまま。
中央:「スマートシャープ」を適応(パラメータはカスタム設定)
右:「アンシャープマスク」適応量75%、半径0.5px、しきい値1

画像では分かりにくいかもしれないが、ヒストグラムを見ると順に黒端、白端が上昇しているのが分かる。(上からノーマル、スマートシャープ、アンシャープマスクの順)
アンシャープマスクはこのくらいの適応量でも輪郭の白が過大になるのが一目瞭然。これがデジタル臭さの原因のひとつだ。

以上の作業はすべて16bit/各色モード上で行い、スクリーン表示(ウエッブ用)はこのまま「WEB用に保存」コマンドで保存する。

ブロードバンドが普及したとはいえ、モデムやISDNで閲覧するケースを考慮する必要はある。表示完了まで1分以上も待たせるのは申し訳ないし、といって画質は良くしたいし、と悩むところだ。900/600pxのJPEG画像はものによるけれど200KB程度なら画質にあたえる影響は軽微だが、1ページの合計が1MBを越えるようだと、56Kモデムでは辛いかもしれない。


エピローグと次回予告 以上、目新しいテクニックはなかったかもしれないが、これが日常行っている補正作業だ。
Photoshopはさまざまなダイアログボックスで似たような効果を得られるので、ここで説明した手法と異なる行き方も当然ある。ただし補正というプロセスは選択されたピクセルデータの数値変更であって、色彩系の場合はフィルタリングでターゲットを選ぶわけだから、似たような処理を繰り返えすと目的以外の部分も浸食され結果的に劣化を伴うことになる。なにを言いたいかというと、目的を持って整合性のある順序でシンプルに一連の作業を行う必要があるということ。そしてスマートシャープのあとに出来る作業は保存だけ。またJPEGで保存したデータの再加工は劣化の重畳になるので厳禁。

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