2274 けして調整が好きなわけではなく・・・
61バンドのRTA(リアルタイムアナライザ)と31バンドのアナログGEQによる調整を最後に行ったのは2021年の5月だった。その後は音楽が気持ち良く鳴る方向に聴感だけで追い込み、測定などは行わなかった。この1年でサブウーファーの設置改善とかプリアンプの入れ替えがあったので、現状を確認しつつ再調整を行った。今回もフラット志向は捨てて定在波の改善だけに的を絞った。これは三次元の振る舞いなのでGEQで平らになるケースは皆無で、少しでも改善方向に向かえば吉というスタンスだ。
61バンドは1/6octであり、理想的な観測窓としては1/24octくらい欲しいが、補整カーブは1/3octステップくらいが音が死なない限界ではないかと思っている。要は補整カーブの角度の問題でこれはデジタルEQでも同じとみているが、トリノフなんかは1/384oct(4096分割!)凄いねぇ、、
周波数スペクトラムは三次元の振る舞いであり絶えず揺らいでいるから、測定値の評価は一筋縄ではいかない。マイクロフォンの位置はスピーカー至近で左右、ニアフィールドポジション、リスニングポジション、リラックスポジションで測定する。RTAの表示をリアルタイム、ホールド、累積などを比較しつつGEQのスライダーを動かす。面白いのは定在波の発生帯域では測定値とスライダー操作がリニアに反応しないこと。操作帯域は80Hzから315Hzまでとし、最大幅を±4.5dB以内としているから、前記のとおり改善方向に向かえば更なる深追いはしない。
今回の調整は、定在波に関しては微調整で済んだのだが、サブウーファーとスーパーツイターのレベルを双方とも2dB程度アップさせた。AES標準リスニングルーム規格の範囲ではあるがかなりワイドレンジ仕様になっている。とはいえ今後様々なソースを聴くうちに元に戻る場合が予想される(笑)
で、現状の音は? 定在波は低域の曖昧さで語られると思うが、改善に向かうと空間に音が浮遊する感覚に驚く。スピーカーオーディオは空気のリニアな挙動をサポートすることだと気がついた。
写真は左上からリスニングポジションとスピーカー至近の測定マイクロフォンの位置。右下はリスニングポジションにおける補正後のRTA画面とGEQのスライダー位置。以前は左右別の補整カーブを採用していたが、現在は左右統一カーブにしているが理由は長くなるので省略。表示画面の横軸点線は10dB幅、スペクトラムの上にある孤立ラインはピークホールドの値。 |