814 極私的、道元プロジェクト その2
 石井恭二著「正法眼蔵の世界」全5巻(河出書房新社刊)のうちの第2巻である。 同じ著者による現在語訳シリーズもあり、そちらの方が数段読みやすいし廉価なのだが、初めに原文を配したこのシリーズに惹かれた。訳文はやはり訳者の世界観というフィルタを通した表現であり、困難といえども原文の気配は絶大なものがある。時間がかかっても原文解読を目標にしたい。
この第2巻では、正法眼蔵全75節のうち17から34節を収録している。第18-20節の「観音」「古鏡」「有時」、そして第24節「画餅」が含まれているところが魅力だ。 「観音」では言葉の表す世界の限界と広さを、「古鏡」は見るものと見られるものの時間を超えた関係性を、そして正法眼蔵のなかでも白眉と思われる「有時(うじ)」は時間の発生と物事の存在、認識を、おなじく「画餅(わひん)」は言葉、図像、認識、時間を統合する世界観、価値観を展開している。(ように思える・・・)
後日、思うことを書き留めたいと思っている。「正法眼蔵」を読むということは読み手の存在を映すにすぎないし、未知の価値は自分が変わらないことには得られない。・・・あらゆる表現芸術はすべて同じかもしれない。 |