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115 井上陽水 氷の世界 | ![]() | 1973年の夏、オープンしたての西武劇場の公演で「泣いた赤鬼」という人形劇の下働きをやっていた。舞台の下に潜って「屋台崩し」を音楽に合わせて仕掛けるのがぼくの仕事だった。その行き帰りの公園通りで「ジャンジャン」の看板を毎回見ていた。そこには「井上陽水」とチョークで書いてある。「カンドレ・マンドレ」から「陽水」に改名したのは、その前年だった。「傘がない」とか「人生が二度あれば」を、あの狭い空間で歌っていたのかと思うと、いまさらながら見ておくべきだったと悔やんでいる。 「氷の世界」はこの年の後半に発表された。行き場のない不定型なエネルギーと未来への不安が、このアルバムのなかに充満している。今とくらべれば鋭く細い声質がいっそうの浸透力をあきらかにしている。リアルタイムでこのレコードを聴いたときは、なにか身につまされて、ちょっと恥ずかしかったのを思い出す。しかし、井上陽水、日本語で歌う男性歌手として、いまでも屈指の存在ではないか。(PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC) |
2004/07/09 |
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114 ビル・エヴァンス 結晶するエクスタシー | ![]() | 1973年冬、東京郵便貯金ホール。控えめなPAがエヴァンスの端正で複雑な音色を聴衆に伝えた。アンコールの「T.T.T.T」、鉱物質の美を滲ませた新鮮なサウンドがいまも耳に残っている。いつまでもラファロ時代のトリオにこだわるのは間違いと思い知る。じつはこのときがビル・エヴァンスの初来日だった。麻薬問題で長いあいだ入国許可が下りなかったとあとで聞いた。 このコンサート、気になっていたクラスメートがエヴァンスファンだったので、一緒に行こうと誘ったけれど、何日の演奏を聴くかでもめた。彼女はツアー初日に行き、ぼくは最終日を選んだ。レコードになった「The Tokyo Concert」はこの最終日に録音されたものである。(PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC) |
2004/07/08 |
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113 セシル・テイラー 闇にひそむ野獣 | ![]() | これも新宿厚生年金会館。一曲目の演奏は延々50分続き、休憩時間のロビーで山下洋輔氏を発見。この少し前、都市センターホールで山下洋輔のソロコンサートを聴いていたので、つい比較してしまう。一般的にもテイラーと洋輔は比較対象になることが多かったけれど、眼前で聴く演奏をもって、あきらかに異なる地平の音楽であると確信した。山下洋輔のサウンドは白飛びするほどのコントラストで、音楽を白熱へ導いていく。対するテイラーは、ダークトーンをベースに底知れないダイナミズムで聴き手を暗黒の世界へ引きずり込む。湿り気と微かな野獣の匂いを発散させながら・・・。 この時期に東京で録音されたトリオレーベルの「SOLO」は、強靱でありながら鋭角的ではなくラウンドする触感と、漆黒の闇、セシル・テイラーの本質を見事に捉えたジャズピアノ屈指の録音だ。エンジニアは名匠菅野沖彦氏である。(PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC 合成) |
2004/07/07 |
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112 浪速のクレイジーケンバンド | ![]() | 大西ユカリと新世界。「7曲入り」と名付けられたこのアルバム、じつはボーナストラックが8つもあって全15曲!。なかで、宇崎竜童・阿木燿子作の「真夜中に聴いた歌」。和田アキ子の嫌みを削除して、浅川マキの倦怠と内藤やす子の退廃をしのばせた、まさに70年代POP歌謡のエッセンス。ユカリさんはけして力まず、焦らず、かといって醒めているわけでもなく、太くてフレキシブルなヴォイス。じつに気持ちいいです。このCDは1枚なのにデカイ箱に入っていて、外装スリーブを外すと「18曲入り」と印刷されている。既発売の「5曲入り」と「6曲入り」が収納できるって、さすが大阪のお方のセンスは違うねえ。(PENTAX*istD FA ZOOM 28-105mm F4.0-5.6IF) |
2004/07/06 |
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↑フルカラー(RGB各8bit)の精密グレースケールの両端を表示しています。すべてを正確に画き分けるモニターは存在しないと思います。
しかしながら「14」や「242」が識別できない場合はモニターレベルで顕著な黒潰れや白飛びが発生しています。ガンマユーティリティなどを使ってモニター調整することをお奨めします。 このページのすべての要素は製作者であるmachinistに著作権があります。複製使用等はご遠慮ください。 |