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photo and Text: machinist

351 Cosmic on Bach 3
バッハの厳しさを十全に表現した例として、ムジカ・アンティクヮ・ケルンのオリジナル楽器による「音楽の捧げもの」(ARCHIV)がある。
この3枚組CDは、BWV1079の巻のみが1979年のADDアナログ録音で、残りのBWV1080とカノンは1984年DDDのデジタル録音という面白い構成になっている。音は当然ながら異なり、溶け合い方と余韻の表現はアナログ収録のほうが勝っているように聞こえる。ただデジタルの方が毅然とした佇まいと個々の楽器の響きの独立性を感じて、彼らの意図したものはこちらかもしれないと思った。この演奏ほど余分なものを剥ぎ取り、無垢の厳しいバッハを明らかにしたケースは他にあるだろうか。

一般的な話しではあるが、演奏においてサウンドを総体としてではなく発音体個々に分化していく表現作法は、オーディオ技術の歩みにもリンクして興味深い。70年代のステレオサウンド誌上で、黒田恭一氏へ瀬川冬樹氏が面白いことを問いかけた。「オーディオ機器の進化で分析的な表現が得意になってきたが、演奏面でもこのような変化はあるのか」というような内容だった。黒田氏は、そんなことはないだろうと答えていたけれど・・・(EOS-1Ds2 EF28mm/f2.8)
2005/04/21



350 Cosmic on Bach 2
ジャック・ルーシェ、オイゲン・キケロからジョン・ルイスに至るまで、バッハを取り上げたジャズピアニストは多い。しかし、糖衣に包つまれたバッハは行けてない。アラウは安らぎのなかに滋味にまで昇華された「厳しさ」を内包しているからこそバッハ足り得ている。ジョン・ルイスの何年にも渡る成果は否定されることはないし、一時はかなり聴き込んだつもりだが、バッハを借りたルイスの音楽表現だったと今は思う。この日記の308で触れたThe Amazing Bud Powell Vol.3の「BUD on BACH」は唯一バッハのエッセンスが吹き込められたJAZZではないだろうか。
そういえばサックス奏者はバッハを演奏しないのかしら。ヤン・ガルバレクやディーブ・リーブマンのバッハを聴いてみたい。(EOS-1Ds2 EF28mm/f2.8)
2005/04/20



349 Cosmic on Bach 1
高校のころまで、クラシック音楽といえばバッハ以外に好きな作曲家はいなかった。音だけで勝負していると幼心に思ったからだ(笑) 年を経てフランス近代に惹かれ、ロマン派も視野に入り、ついにはマーラーにまで魅せられるようになってしまったのは、たぶん余計と思っていたものの価値が分かるようになったからかもしれない。
バッハからはやや遠ざかっていた昨今ではあったが、このところバッハばかり聴いている。発端はクラウディオ・アラウの晩年のレコーディングであるPartita1, 2, 3, 5番を収めたPHILIPSのCDだ。この時期に収録されたシューベルトの何枚かのCDにいたく感動したので、ついでに求めてみた。残りの4, 6番は収録が予定されていたが、その月に亡くなってしまった。88歳だったそうだが、べつに年齢がどうという意味ではなく、こんなバッハを聴いたのは初めてだった。あるひとつの音がその近傍というか過去・現在・未来のつながりを提示していると思った。
サウンドを極限まで分化する方向で進んできた20世紀後半のピアノスタイルへの、アラウのメッセージだったのかもしれないが、厳粛でありながら自然で例えようもなく優しい彼の音楽に包まれると、そんなことはどうでも良くなった。(EOS-1Ds2 EF28mm/f2.8)
2005/04/19



348 Oscar Peterson
この「Close Your Eyes」、彼の最高傑作と思われるアルバム「The Jazz Soul of Oscar Peterson」の中の一曲であることを知ったのはずっと後になってからだ。Oscar Peterson, Ray Brown, Ed Thigpenからなるゴールデントリオが結成された1959年の録音である。ブラウンの強靱で有機っぽいビートに乗ってピーターソンが繰り出す音列の多彩さと構成力は永遠に色あせないだろう。2048px画像はこちらから。(EOS-1Ds2 EF50mm/f1.8II ISO400, f5, 1/500sec)
2005/04/18






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しかしながら「14」や「242」が識別できない場合はモニターレベルで顕著な黒潰れや白飛びが発生しています。ガンマユーティリティなどを使ってモニター調整することをお奨めします。
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