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2007/06/07
845 Air's Edge Oneストーリー 前

12年前にALTECのユニットを使ったスピーカーシステムを計画したとき、頭にあったのは604デュプレックスである。これはかのジェームス・B・ランシング氏が開発した515ウーファーと802ドライバーを合体させたものだ。1945年のことである。

この初代機は残念ながら聴いたことはないが、クロスオーバーを1KHzに下げた604Bをエルタスの店頭で聴いたことがある。床に転がした裸のままのユニットだったが、女性ヴォーカルの濃密な色香にコロッと逝ってしまった。これで石川さゆりの「おんな港町」を聴きたいと心底思ったものだ。(註:この曲は八代亜紀のカバーであるが、さゆりちゃんの方が数段勝っているように思える。)

ところがこの604B、あまり綺麗とはいえないコンディションにも関わらず、値付けが高い! ジュピターオーディオにはキズひとつない新同品?があったがさらに高価でペアで50万くらいしていた。貧乏性なわたくしは、それだったら515と802を買ったほうが安いじゃんと迂闊にも思ったものだ。

というわけで、何軒かのヴィンテージショップ巡りをして、たいていは店主の唯我独尊的キャラに辟易としたわけだが(笑)515Bと802D+511ホーンを購入した。ご存じのようにALTECの正規組み合わせには、このセットは存在しない。515は288ドライバーと相場が決まっているし、802は803ウーファーもしくは416という具合だ。しかし、あたまの中は604だから一向に気にはしなかった。

その後のエンクロージャー製作の模様は雑誌MJにも書いたが、要はJBLパラゴンの作法を一部借りて、604の拡大解釈版を意図したわけだ。ちなみに515Bと802Dの組み合わせは1957年に発表された604Dデュプレックスそのものということになる。

当初目指したのは、ナローながら機敏でタイトな音だった。パワーアンプは自作の6V6ドライブのWE350Aシングルだったから、大音量域は想定外。ひたすらローレベルの階調を重視していた。(つづく)



2007/06/03
844 耐震補強工事

先週のオフ会はこの後にすべきだったと後悔している。今日、No.36で問題になった大音量時の共振対策を施した。ウッドベースの開放弦もグランドピアノの左手のアタックも曖昧な付帯音が激減し、本来のフォースを示しているように思える。楽音と空間の響きの分離具合は、半世紀前のユニットから出ているとは信じられないレベル。

写真:ウーファーユニットのメンテナンスとバスレフポートを兼ねたフロントパネルの背面。元からあった木製の補強桟を両側から鉄製L型アングルで挟む。中間の木質と多量に用いたボンドK120が金属の共鳴をダンプするはず。重量付加を最低限に強度アップを図る手法だ。



2007/05/30
843 東京めたりっく通信を覚えていますか?

99年の暮れごろだったか、電話線に重畳するDSL技術が実用化され
加入者を募っていたので、すぐに申し込んだ。

当初は1Mで、それでも非常に高速で驚いたものだが、すぐに8Mの超高速タイプが発表され、露払い的被験者(笑)になってしまった。これがとんでもないシロモノで2日くらい不通なんてこともあったが、ようやく安定したころ、ソフトバンクに吸収されてしまう。このヤフーBBのADSLはめたりっく通信の8Mをそのまま踏襲したものだった。

メアドが変わらなければ移行も仕方ないと思ったのだが、そうはさせないという非情な態度。
なにしろ、めたりっくのメアドはカッコ良かったのだ。

studio@xdsl.ne.jp

これが使えないでヤフーなんてイヤなこった(笑)

この写真の2048pxサイズはこちらから
http://blog.goo.ne.jp/gencyo/e/0702f99abaf59e9a0f5744d69608d058



2007/05/28
842 力の在処 アナログvsデジタルから

土曜日にミニオフを行った。今回集まっていただいた方々は偶然にもアナログ使いの達人ばかりで、以前だったらこういうシチュエーションではLPは遠慮するところだ(笑) それなのに延々9時間ちかくお皿を回し続け、いまさらながらアナログディスクとCDの音の違いを感じた。優劣をつけたいわけではないし、ある意味で不毛な比較には違いない。ただ、根元的な、いわばエネルギーの在処に由来するものと思ったのだ。クオリティとかバランスとかの問題ではない。

その1:低域は圧倒的にCDが優れている。500万円クラスのアナログプレイヤーを巧く使いこなせばどうなるか、経験がないので分からないが、一般クラスで言えばエネルギーの持続感はCDにアドバンテージがある。

その2:S/Nとダイナミックレンジ感(←感、というところがミソだ)はアナログの方が優秀だと思う。へんな言い方だけど、音量とエネルギーが比例、調和するのがアナログの長所かもしれない。デジタルは基本的に同じ力感(テンション)のなかで音圧だけが変化する気がする。そりゃ、500万円クラスのCDプレイヤーを巧く使いこなせばどうなるか。逆転するかもしれない。

その3:粒状感。これは一長一短でアナログの粒子は丸くてサイズが様々。エッジはシャープ。CDはしいて言うと敷き詰めた四角いタイルを均等にぼかしたような滑らかさ。小音量ではCDの方がエネルギーのある分、有利かもしれないが、大音量域では作為感が付きまとう。

一般的なDAコンバータのアナログ変換では、瞬間(点)の電流値をコンデンサで掃印して次のポイントまで持続させる。これがエネルギーの源で、電源がしっかりしていれば外乱は少ない。対してアナログディスクでは、ターンテーブルの回転力といういわば直流エネルギーから、機械的な弾性(中点に戻る力)を介して交流エネルギーを取りだしている。これは微小レベルになるほど外乱の影響を受ける。ただ、これが悪いことと単純に言えない面もある。このあたりにデジタルとアナログの差がでるような気がしているのだが・・・いやぁ、週明け早々屁理屈っぽい話しをしてしまった。異論反論大歓迎(笑)

写真:箱根ラリック美術館にて。展示ケースが展示ケースに入っていた。



2007/05/25
841 メーリングリスト

インターネットに繋げるようになったのはSo-netの地元局がようやく出来たころだから1996年か。そう、あの頃は市内に接続ポイントがないと経済的な実用性がなかったのだ。

メーリングリストという言葉を聞いたのはそのしばらく後だ。妻が「パピヨン倶楽部」という犬のMLに参加した。メールアドレスのリストに、なんの意味があるのかと訝しく思ったら、メンバー全員にメールが行き交って非常な盛り上がりを見せていた。ここは日本ではかなり早い段階で立ち上がったMLだろう。サーバーは初台のアップルジャパンのなかにあったと伝え聞いた。そういえば、この時代のインターネット利用者の半数はMacユーザーだったのだ。そのうち、住居の近い人たちが集まってオフ会を催すようになり、ぼくも野川公園や小金井公園にお供したが、同じ犬種を引きつれて多くの人間が集まるのはとても不気味な風情だった(笑)オーディオのオフ会も端からみたらそれはそれは怪しいものに違いない。

あるとき、この「パピヨン倶楽部」で写真集を作ろうという話しが持ち上がり、メンバーの中だけであっという間に制作スタッフが揃ってしまった。表紙のイラストレーター、ヴィジュアルを考えるデザイナー(不肖、わたくしである)そしてページレイアウトと進行を受け持つプランナー。写真データはメール添付がメインだったし、校正チェックがPDFってところが凄い! 数年後の業界のフローを完全に先取りしていた。

オーディオのメーリングリストも随分多く参加させてもらった。現在でも4つは活動中だけど、ひところの活気はない。話題が出尽くしてしまったのか、こういう仕掛けに飽きたのか。パピヨン倶楽部も写真集を出したころがピークで、いまは分散化してよりクローズドな交流に戻っていった。この写真集を見ていると、ネット黎明期のオープンな活気というものについ思いがいってしまう。



2007/05/22
840 宮ノ下、富士屋ホテル

時の澱(全4点)
http://www.vvvvv.net/film/topics.cgi



2007/05/21
839 表現のダイナミックレンジについて

ハイファイというと、ついワイドレンジだのダイナミックレンジだのと、再生のキャンバスの広さを競う傾向になりやすい。それで、すべての音楽表現を全うできれば、全然問題ナシなのだが・・・

強い音、弱い音
激しい音、優しい音
喜びの音、哀しみの音
出る音、引く音
白い音、黒い音 ←なに?

というような、レンジもあるわけで、特に右側の項をなんとかしたいと思っていた。

一ノ関のベイシーで聴いたビリー・ホリデイがとても良かったという話しは何度も書いているので、しつこいけれど、彼女の最良の表現が伝わって来たと心底思った。

なにが良かったのか? これを解明するのは難しい課題だ。従来のオーディオ技法だけではクリアしにくい部分であることには気がついたが、具体的にここをこうしたら解決するという回答は簡単には見つからなかった。

考えてみると先の項目の右側表現をベイシーはクリアしている。で、それを達成するには左項もキチンと表せないとダメということは当然として、右項を全うするにはシステムとしての余裕度がより必要ということに最近気がついた。ギリギリ目一杯の表現力では"哀しみ"や"引く表現"は表せない。さらに言うと両翼の幅は広さではなく、連続性と対比で感じさせるものではないかと思い至った。

ときどき、ふと、このニュアンスはベイシーにあったものだなあ、などと思うことがある。別に同じにしたい訳ではないし、あそこにも弱点はあって、低域がわたし的にはファット過ぎるとか、いろいろ・・・あっ、低域ファットの貢献度があったのかも(笑)



2007/05/17
838 エンクロージャーの振動を考える

大音量域のエンクロージャーの振動は弊害には違いないけれど、これが皆無になって、ほんとにいい楽器の鳴りが期待できるかというと、どうもそうではないらしい。

F特的に低域が十分に伸びたスピーカーで、ストレスのない軽い低音を放射するのは至難だ。生音を聴きながら再生音のことを考えるのはオーディオマニアの悪い癖だが、この音にいちばん近いのは十分なサイズをもつ平面バッフル以外にないと断言したい(笑)

余計な振動を止めながら、そのことによって新たな弊害を出さなければいいのだが、重さで押さえ込んだりすると、その重さが悪さをする。これは巨大質量のアナログプレイヤーの弊害と同質のものだ。といってジュラルミンや超高硬度アルミANP89は鳴き出したらトンでもないキャラが乗りそうで恐い。やはりキャビネットに使っているMDFで構造的な補強という線に落ち着くのかどうか。いまだ継続審議中・・・

スピーカーキャビネットの振動については、一頃のDIATONEはかなり高度な研究をしていたみたいだが、いまどうなったのだろう。技術の継承は十分に保たれているのか。どっちにせよ日本のメーカーは振動を止めることにまっしぐらだったが、綺麗に響かせる知恵が足りなかったのではないか。その意味で、欧米のいわゆるハイエンドメーカーはユニットを外注に頼るのとひき替えに、エンクロージャーの研究は進んでいると思う。




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