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photo and Text: machinist

106 消え入るヴォイスと無音との狭間
この週末に、若いオーディオファイル3人をお招きし、わが家の装置で音楽を聴いてもらった。いまだ調整中のパッシブハイブースト回路の定数は確定できず、おまけにこの時期の湿度の高さが加わり、チューニングはあきらめていた。3時間くらいの予定が夕食をはさんで延々8時間半に及んだわけだけど、最後にカートリッジをオルトフォンSPUに換装して、音量をごく控え目にして、そこで奇跡は起きた。バルバラ初期の「Dis quand reviendras-tu?」。消え入るヴォイスと無音との狭間に彼女の思いが隠されている。観念的には分かっていることでも、目の前の空気を鳴らして表現することは至難で、いままで聴いたことのない世界に鳥肌が立った。そして、それを受けとめてくれた人がぼく以外にもいたことが分かったときは、オーディオも結構いい趣味ではないかと確信した(笑)。(PENTAX*istD FA ZOOM 20-35mm F4AL)
2004/06/29



105 輪郭のふしぎ
ものには境界がある。内実とそれを取り巻く環境との拮抗する部分。しかし立体物は境界も三次元だから、輪郭を定義することは困難だ。目で見ても表面から裏面へ回り込む部分の境界は、線ではなく「面」そのもの。観察者の単一的な視線を考えなければ「輪郭」なんてものは存在しない。そもそも境界とはいえミクロ的には幅がある。てなことを考えていたら、あの超高音質CDプレイヤー「ヴェルディ・ラ・スカラ」を扱っているタイムロードの社長挨拶の一文*。こういうセンスを持った経営者が日本にいるということに驚いた。じっさい「ヴェルディ・ラ・スカラ」の表現する世界とこのテキストの方向性は見事にシンクロしている。*来月になると別の文章に変わるらしい。(PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC)
2004/06/28



104 音の彼岸 その5 音楽の抽象性
抽象というものは現実のしがらみを脱しないと、なかなか捉えにくい。音楽の抽象美はわれわれが呼吸する空気を通してしか表出できない、きわめて移ろいやすいものだ。現実の世界のスケールや匂い、温度や湿度を引きずりながらも、それは忽然と現れる。例えばメンデルスゾーンのオーケストラ曲は、スコアの先の作曲家の内部に宿る夢の世界の具現化ではないだろうか。演奏者の肉体も楽器のマテリアルも、そのために奉仕しているし、彼らはその目的のために消え去ることを運命づけられている、なんてことを思ったけど、これって古い思考? (PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC)
2004/06/26



103 新宿、人のいない風景
動きのないものを撮るのは楽なようでいて、難しい面がある。構図とかアングルに気をとられすぎてはいけないと反省しきり。というか、写真でなにが大事なのか分からなくなってきた。つまらん写真ばかり公開してるような気がして、アサヒカメラのアマチュア投稿欄の組み写真はいい作品が多いなあと思う今日この頃。(PENTAX*istD SIGMA 18-50mm/f3.5-5.6DC)
2004/06/25






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↑フルカラー(RGB各8bit)の精密グレースケールの両端を表示しています。すべてを正確に画き分けるモニターは存在しないと思います。
しかしながら「14」や「242」が識別できない場合はモニターレベルで顕著な黒潰れや白飛びが発生しています。ガンマユーティリティなどを使ってモニター調整することをお奨めします。
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