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531 竹田喜之助さんのこと | ![]() | 115でふれた渋谷西武劇場の「泣いた赤鬼」は、糸操りの名門竹田人形座の公演だった。舞台の下に潜って「屋台崩し」を音楽に合わせて仕掛けるのがぼくの仕事。十数本のテグスで操られる人形は、この座の人形師、竹田喜之助さんの作品である。人形が静止しているとき、そのかたち作られた曲線は知的でクールなオーラを放っているが、ひとたび動き出すとまるで話しかけて来るような温もりがあった。彼は大学で航空工学を学んでいたので、そのことと彼が作る人形の曲線になにか関係があるのか尋ねたことがある。「いやー」と恥ずかしそうに笑うだけの寡黙な姿勢に、いっそう彼への興味をかきたてられた。 この公演の何年かあとに、彼は通勤途中のバイク事故で他界した。彼の凛とした視線のさきに、なにがみえていたのか、いまでも気になっている。 ・ 写真:竹の塚の人形座スタジオに泊まり込みで、舞台装置を制作していた32年前のスナップ。フジクロームタングステンタイプのポジをEPSON GT-9700Fでスキャンした。昔の雑誌みたいな色だけど、雰囲気としては合っていると思う。バックのピンクの花びらはフィルムの腐食である。(Nikon F 105mm F2.5) |
2005/10/12 |