幻聴日記
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012 ダイナミックレンジ

大好きな写真家、横木安良夫さんのサイトDIGITAL DAY BY DAY、2003年9月2日の日記より・・・
「・・・画素数が多ければいいみたいな風潮もある。いらないんだよ。写真にそんなに多くの情報量なんて。写真は、無限の情報量のある僕らの生きている世界から、殆どの情報を捨てることによって何か真実を発見する作業だから。」
(PENTAX*istD FA ZOOM 28-105mm F4.0-5.6IF)
2004/03/16


011 限りなく透明に近い・・・

「透明感」という言葉はどうなんだろう。音像の表面の不透明な膜が本体のクリアネスを損ねている、というなら分かる。でも「透明な音」っていう表現は、音像の向こうに別の音像が透けて見えるような状態を想像してしまうのです。これはかなりアンナチュラルな世界。個人的には音量を絞り込んでいって限りなく無音に近い状態に「透明」を感じるのだけど、ヘンかなあ。
ついでに言うと「くちびるの大きさ」とか「滲みのない音」あるいは「ピンポイントの定位」なんていう表現にも、違和感を感じるわけです。なぜかといえば、人間の声はくちびるが出すわけではないし。音には滲みがあるし、音像には幅があるから・・・。
(photo by scylla, model: cha-)
2004/03/16


010 唄のないフラメンコなんて・・・

唄のない「津軽じょんがら節」はまったく面白くないけれど、ギター演奏だけの「フラメンコ」にもあまり興味がない。
カルメン・リナーレスはカンテ・フラメンコの伝統を受け継ぎながら、現代のまさに生きた音楽を具現するアーティストであると思う。その声は鋭利でありながらグラマラスな熱気を伴っている。このアルバム「La Iuna en el rio」は、曲によってフルートやチェロも動員した多彩な音づくりなのに、これらの作為が音楽の内側の血の濃さを一向に減らさないことに驚く。両翼に位置するギタリスト、Paco CortesとPedro Sierraも強靭でハイスピード、ときに天を舞うような軽やかさ。 AAD表記のアナログ録音で、どこまでも伸びる強大なDレンジと漆黒のSN感に驚愕。
写真右下のジャケット「シャンソン/フラメンカ」これもカンテ・フラメンコ。一流どころ12組がフランスの名曲にチャレンジしている。たとえば「ラ・ボエーム」まぎれないスペインの色、ディープではあってもけしてゲテモノなんかじゃない。世の中には凄い音楽がキラ星のように存在し、でも聴く幸運に巡り会うのは、ほんのわずかということを実感しながら聴き入った。
(PENTAX*istD smcA 50mm F1.4)
2004/03/15


009 A BUS OF THE RISINGSUN

新宿駅南口で外界に出る。一瞬、朝日をあびた「鮮やかさ」が視界に入った。カメラを首から下げる野暮はしたくないので、いつもそれはバッグに潜めている。信号待ちの「鮮やかさ」の正体が、どうか過ぎ去ってしまわぬように祈りながら、あわてて取り出しシャッターを切った。こういうときは構図も露出も、なるようにしかならない。ノートリミングです。というか基本的にトリミングはやらない主義です。
(PENTAX*istD smcA 50mm F1.4)
2004/03/15


008 音場か、音像か、それが問題 II

再生音を聴くとき、意識は「音像」に向かうことが多いです。わたしの場合。しかしこの音像は切り絵のような平面ではダメで、側面から裏面に回り込んでいく様子や、背後の気配さえ感じさせてくれる三次元の音塊であってほしいし、願わくば周囲がすこし滲んで空気と溶けあうさまも・・・ということは「音場」を再現することと変わらないのか? そう、変わりはないけれど、構築することと意識をどこに向かわせるかは、微妙に異なる問題なので、そこに個人のさまざまなアプローチがあると思うわけです。
(PENTAX*istD smcA 50mm F1.4)
2004/03/12


007 音場か、音像か、それが問題 I

クラシックのオーケストラをあまり聴かないので、どうでもいいけれど、原寸大のオーケストラがリスニングルームの大きさと関係なしに感知できるという音場再生に違和感をもっている。超リアリストなんだね(笑)。かといって部屋のサイズにあわせてミニチュアのオーケストラを展開させるのも、盆栽を愛でるようで・・・。
オーケストラのような集団表現は、作曲家の抽象、概念の具現化という意味合いが大きいと思うし、それは出た音と等価以上かもしれない。もとよりコンサートホールは、多くの観衆に聴かせるための手段なわけで、絶対条件ではないはず。100人の演奏者の集積音がサッカーボールくらいの塊になって、それを1.2メートルの距離で聴くのも、それはアリではないかなあ。
(PENTAX*istD FA Macro 50mm F2.8)
2004/03/11




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