下のbackボタンで過去へ進みます。 幻聴日記第1期 INDEX はこちらから

photo and Text: machinist

709 嫌われ松子の一生
たぶん、今年の日本映画賞を総ナメするんじゃないだろうか。
主演女優は絶対決まりと思うし、監督、作品、美術、音楽、衣装・・・。いろんな要素をゴッタ煮しながら、猥雑かつ豊穣な"映画の時間"を感じさせてくれる作品だ。流儀は違うけれど、鈴木清順の一連の諸作「チゴイネルワイゼン」「陽炎座」・・・以来の快挙だと思った。なにが良かったかなんていう蘊蓄は今回はナシということで・・・(笑)
PENTAX *istDS SIGMA17-70mmF2.8-4.5DC 2006/06/03



708 二人の歌い女
森昌子の復帰ステージになったNHK歌謡コンサートは厳しいものがあった。長年のブランクで声を出し切れないのは仕方ないとしても、往年の自分の歌の表面だけをなぞった歌唱。「生活のために歌う」と宣言した性根を垣間見ることはできなかった。オンエアーされたシーンを見ただけの印象ではあるけれど、継続的に活動していくのは無理じゃないだろか。ファンのひとりとしてはとても残念なことではあるが・・・。

対して、お恵ちゃんこと松山恵子の最後のステージを記録したNHK-BS「シブヤらいぶ館・特別編」。この感動を伝える言葉がみつからない。ぼくは彼女の歌にそれほど興味を持っていなかったし、特異なアコーギクやエキセントリックな立ち振る舞いと衣装、どちらかといえば遠ざかる要素を多く持った歌い手だ。それがあろうことか見ている途中から涙が止まらなくなってしまった。母の思い出話から自身の闘病の告白、そして歌と語り、それらが境目なくひとつの存在・表現になっている。けして豊かとはいえないこのときの声から、彼女の過去・現在・未来すべてが聞こえてきた。
歌手にとっていちばん大事なものが「聴き手を共振させるチカラ」だとしたら、このときの松山恵子は圧倒的にそれを備えていたし、さきの森昌子に足りないものは、歌唱力だけではなかったのかもしれないと、ふと思った。
写真:ポーズにしたら画面が粗くなってしまったが、このときの彼女、歌う姿がとても美しかった。
PENTAX *istDS SIGMA17-70mmF2.8-4.5DC 2006/06/02



707 401minutes
昨日の日曜日は「ドクトル・ジバゴ」と「マルコムX」を連続踏破するという怪挙に出たのだが、やはり疲れた(笑)
「ドクトル・ジバゴ」は、音楽が語りすぎるとか群衆がやけに整然としているとか、今となっては古いセンスだと思った。1960年代に作られたものの難しさは映画だけではないが、もっと古い時代と70年代以降の両リアリズム(意味はかなり違うが・・・)の谷間だったのかもしれない。作為だけがいつまでも尾を引くような"作家性"を感じたといったら言い過ぎか。
「マルコムX」は自由民権運動の闘志としての物語より、前半のヤクザ時代、1946年のシカゴの街のリアル感あふれる描写が印象的だった。ダンスクラブのビッグバンドのシーンは、映像も音楽も"場"の匂いを伝えている。
写真:横田のDEMODE DINER。国道16号の向こうは塀の中のアメリカ。(2004年5月撮影)
PENTAX *istD FA28-105mmF4-5.6 2006/05/29



706 自然光のちから
目下のテーマはライティングで、映画も広告もそればかり気になる困った状況になっている。なにも作為的なスタジオライティングの話ではない。自然光をどのように取り入れるかは、写真でも最重要のテクニックであるし、アングルにも関わるので、なかなかシャッターが押せない(笑)

702の「天国の日々」を撮影したネストール・アルメンドロスのことを調べてみた。スペイン出身でキューバに亡命。その後パリに渡りヌーベルバーグの諸作に関わった。自然光重視でスタジオでも作為的ライティングを極力排除したとか。惜しくも1992年にエイズで世を去った。
彼のセンスとスキルを端的に物語る素晴らしいページを見つけた。
http://www.asahi-net.or.jp/~IJ9S-UCYM/tengoku.html
リュミエール叢書 ネストール・アルメンドロス著「キャメラを持った男」
この本は入手不能みたいだけれど、 だれか見せてくれませんかー。
写真:TOKYO HIPSTERS CLUB
PENTAX *istDS SIGMA17-70mmF2.8-4.5DC 2006/05/26






次ページTOPページ前ページ HOMEページ




↑フルカラー(RGB各8bit)の精密グレースケールの両端を表示しています。すべてを正確に画き分けるモニターは存在しないと思います。
しかしながら「14」や「242」が識別できない場合はモニターレベルで顕著な黒潰れや白飛びが発生しています。ガンマユーティリティなどを使ってモニター調整することをお奨めします。
このページのすべての要素は製作者であるmachinistに著作権があります。複製使用等はご遠慮ください。






Accepted IP

Kent Web様のCGIスクリプトを利用しています。- Topics Board -